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【特集】不良が見えるX線検査装置の選び方

目次
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X線検査装置は、医療業界だけでなく、電子部品、食品、建設業界、航空業界と幅広い業界で使われています。中でも近年、電子機器業界では、製品の品質の向上を目的に、X線検査装置による実装基板の検査を実施している企業が増えてきています。

ここでは、株式会社アイビットに取材を依頼し、不良の見える見えないを左右するX線検査装置の選び方・考え方について解説していきます。

実装基板は面の集約から三次元実装へ

PCやスマートフォンの小型化に伴い、その内部の核となる基板においても部品が小型化し、目では見えないほど小さい部品を実装するようになっています。時代が平成から令和に入り、現在は部品を縦に積み上げていく「三次元実装」が増加。 実装基板のX線検査装置においては、この三次元実装基板にいかに対応できるかがポイントとなります。

そこで、株式会社アイビットは三次元実装基板の撮影に適した技術を開発。それが「X線ステレオCT方式」です。裏面を透過してしまうとどの面に不良が起こっているか判別がしにくくなりますが、X線ステレオCT方式を用いることで裏面が映らないように撮影することができます。下記がその例です。

アイビットのX線装置

裏面キャンセルをせずに撮影したものと見比べると、一目瞭然。両面実装された基板でも見たい部分をきれいに映し出すことができます。

断層検査(CTスキャン)の3種類の手法

電子部品、半導体、実装基板などの検査対象、検査部位によって観察、検査方法が異なります。また、毎年新しい電子部品などの登場により、今使用しているX線検査装置が来年に使えなくなる可能性も少なくありません。

ここでは、CTスキャンの3種類の手法をご紹介します。それぞれのメリットデメリットをしっかり把握しておきましょう。

1.垂直CT(水平CT)

アイビットのX線装置

CTの手法としては最もオーソドックスな手法のひとつ。最高品質の断層画像は取得できますが、基板、シリコンウエーハなどの平面板のCTは不得手な撮影方法と言えます。
基板は小さく切断しなければ映すことができないこともあります。

2.傾斜CT(ななめCT)

アイビットのX線装置

実装基板などの縦横比(アスペクト比)の大きく異なる試料は上記の垂直/水平CTでは撮影できません。そこでこの傾斜CT(ななめCT)が用いられます。基板を水平にし、斜め方向からX線を照射して試料を360°回転しながら撮影する方法です。

しかし、X線の入射方向が限られることから、画像に欠損部分が発生することも。ターンテーブルに回転精度を求める、また基板サイズによっては巨大なターンテーブルが必要になるなど、ハードウエアの制限が多いこともあり、高額な装置になる傾向にあります。

3.トモシンセシス(ステレオCT)

アイビットのX線装置

X線を移動しながら、X線の入射角度を変えて撮影し、その一連の画像に対して、それぞれの画像を走査方向に適量シフトし、結果を合わせることで、特性の断層に焦点を合わせた断層像が得られます。画像ごとのシフト量を調整することにより、任意の断面の断層像が得られます。マンモグラフィ(乳がん検診)などで使用されています。
構造がシンプルになるため、撮影時間が短いといった長所はあるものの、比較的廉価になることも。

このように、それぞれの手法で得手、不得手があります。

アイビットのX線装置
FX-300/400/500tRXシリーズとは

アイビット
引用元HP:アイビット公式HP
http://i-bit.co.jp/

アイビットの提供しているFX-300/400/500tRXシリーズは、オプション設定によりこれらのCTスキャンのすべての方式を搭載可能です。
2022年1月時点では、この3方式のCTスキャンを全て搭載できる装置はアイビットのX線装置のみ。検査手法が多いことで将来の部品対しても検査の保証が可能となっています。

全数検査が可能なアイビットのX線装置はX線2D撮影、3D-CT撮影だけでなく、2D、3Dの結果を用いて自動検査することが可能です。

アイビットのX線装置

上記画像の右のように、不良を自動判定してGood/No Goodが判定できます。

また、X線インライン機「ILX-1100/2000」にも自動検査装置が搭載。

アイビットのX線装置

EV(電気自動車)、ハイブリッド自動車で用いられるパワー半導体の検査にも有効です。CT機能で、断層ごとに気泡率を自動検査することができます。

さらに…
実装基板のX線検査装置選びで知っておきたいポイント

1.高倍率

半導体や電子部品は微小化の一途を辿っています。
肩掛けの携帯電話からホットドッグサイズ、そしてポケットサイズへと機器が小型化できたのも、半導体や電子部品などの構成品が小型化できたからに他なりません。その半導体や電子部品で故障が発生した際に検査確認するためには、拡大率が低いと不良個所が特定できないため、拡大して観察する必要があります。

BGAのはんだ付けのクラック事例を以下に例を示します。

アイビットのX線装置

BGA部品のクラック発生を映しているサンプル画像です。右の30倍では倍率が低く、クラックは見えていません。
これを800倍に拡大したものが右の図。Φ0.65mmBGAのクラックも高倍率撮影で観察可能となっています。

2.高解像度

解像度を客観的に判断するには指標が必要です。
しかし、各X線検査装置メーカーのカタログに掲載されている「解像度」には統一基準がなく、各社各様の表示なのでこれを比較することは得策とは言えないのです。

そこで判断基準となるのが「X線用解像度試験片 マイクロチャート」。解像度を客観的に判断する指標として日本検査機器工業会(略してJIMA)が販売しています。

jima
引用元HP:日本検査機器工業会公式(pdf) https://www.jima.jp/content/pdf/catalog_rt_rc02b_j.pdf

このマイクロチャートで解像度が高いと微細部分の不良個所が特定できます。アイビットのFX-300tRX2はJIMAマイクロチャートで5μmを識別できます。

アイビットのX線装置

上記の参考画像で指標となるポイントは、線が分離して見えるかどうか。白い部分と黒い線の間隔が5μmであり、この線が分離して見えると「解像度5μm」と言えます。

アイビットのX線装置

さらに高解像度のアイビットのFX-400tRXは「解像度2μm」を実現しています。

取材協力・アイビット

アイビット
引用元HP:アイビット公式HP
https://www.i-bit.co.jp/

近い将来、日本でもEMSなどを利用した製品の生産委託をするメーカーは増えてくると予想されます。現在のように1つの生産ラインからの抜き取り検査(オフライン検査)や、徹底した製造工程管理などの品質管理方法では、競合他社に勝ち抜いて大手メーカーと生産委託契約を結ぶことは難しくなります。

競合他社に勝ち抜くには、製品の品質の高さを担保できるものが必要になってきます。そのために必要となるのが、アイビットのX線ステレオ方式です。

X線検査装置の導入、リプレースを検討する際には、検査コストの低減を考えたオフライン検査用の機器を選定するのではなく、競合他社との差別化を考えたインライン検査用にX線検査装置の導入を考えることも重要と考えれるのではないでしょうか。

会社名株式会社アイビット
住所神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP(かながわサイエンスパーク)東棟6F
電話番号044-829-0067
設立2000年9月1日
URLhttp://i-bit.co.jp/