基板の検査方法の種類
品質保証の重要性の高まりから、製造業者をはじめ、愛好家や新興企業で、基板実装検査の活用が広まっています。さらに、小規模なバッチ製造への変更、効率的な検査方法も近年求められているものです。ここでは、基板の検査方法の種類についてまとめて紹介しています。
現在は一枚の基盤に数百もの部品と数千ものはんだ接続など製造工程も複雑化しており、適切な検査を実施しないと全体のプロセスが失敗に終わってしまうことも。そうならない為にも、電子機器製造業界と製品開発者は、品質を保証するために製品に対してさまざまな検査と検査手順を決め、課題に積極的に取り組んでいます。
基盤の検査方法7種類
検査方法は、一般的に7つの方法があります。以下で詳しく紹介していきます。
目視検査
プリント基板の検査方法は、一般的に電気検査と目視検査の2つの方法に分けられます。目視検査とは、拡大鏡を使い、技術者の目によってはんだの欠陥や部品の向き、部品の欠落、汚れがないかなどを検査していく方法です。目視検査には検査設備は必要なく、安価に設置できるメリットがあります。
しかし一方では、検査する技術者の能力に依存し、ヒューマンエラーが発生するリスクも。さらに時間と労力がかかり、目視で検査できるのは目で見えるはんだ接着の範囲のみになるので、隠れている部分の検査ができないと言ったデメリットがあります。
インサーキット検査(ICT)
インサーキット検査は、量産製品の基板検査で特に多く採用されている基板検査方法です。基板実装インサーキット検査は部品の欠落や、はんだの欠陥、ダイオードやトランジスターの向きの誤りが原因の可能性がある短絡や、回路のチェックができます。インサーキット検査には、エラーバレッチが90%以上、大量生産の製品検査が効率よくできるといった特徴があります。
しかし一方で、プリント基板の設計を変更するたびに、検査治具の変更や再作成など費用が必要です。またインサーキット検査では特定の欠陥を評価できなかったり、はんだの過剰、不足、ボイドを発見できないといったデメリットがあります。
FLYING PROBE TESTING(FPT)
フライングプローブ検査は、検査のポイントだけでなく、テントのないビアや、部品自体の端にアクセスして検査ポイントとして使い、パッシブパーツの値をチェックし、ダイオードやトランジスターの向きを直接検査し、電圧測定を実施するようにプログラムできます。
メリットとしては、実装や変更が安く、速くなり、治具が必要ありません。しかし一方で、検査に大量の時間がかかる点や、特定の欠陥が評価できないといったデメリットがあります。
自動光学検査(実装AOI)
2Dや3Dのカメラを使い、基板の高解像度画像を撮影し検査する方法です。自動法覚検査は、目視検査より一貫性がある検査ができることや、欠陥を早期に発見できるほか、生産ラインに直接追加できるメリットがあります。しかし一方で、マッチングテンプレートのプログラム開発に時間がかかる点や、ガバレッジを100%提供することが難しい点などのデメリットがあります。
X線検査
X線検査は、他の検査方法と異なりX線を使います。X線は基板と部品の本体を透過し、はんだ接合部の2次元、3次元画像をつくることが可能となるため、ボールグリッドアレイ(BGA)や、ランドグリッドアレイ(LGA)等、目視では見えない部分の検査ができます。
X線検査のメリットは、検査方法の中でも特に欠陥検出率が高いことです。
また、接続部だけでなく、はんだ接合品質に重点を置いた検査方法でもあります。しかし一方で、経験豊富な操作スタッフが必要な点や、時間もコストも多くかかるというデメリットがあります。
バーンイン検査(BURN-IN TESTING)
バーンイン検査は、効果的で正確な検査が可能です。バーンイン検査は初期の障害を検出できるため、早期の障害の排除が可能です。また潜在的な障害の指数だけでなく、障害を引き起こす極端な動作チェックもできます。バーンイン検査のメリットは、他の検査では難しい、実際の環境条件に合わせた検査ができることで、製品の信頼性を向上させられます。
しかし一方で、検査によって製品の寿命が縮む可能性があり、歩留まりを低下させる、時間と労働力がかかるといった点がデメリットです。
機能検査(FUNCTIONAL TESTING)
機能検査は、製品の製造の最終段階で実行されています。これは製品が設計された通りに動作するかを保証する検査です。電源のオンオフ検査や、検査ソフトを使った包括的検査を実施。機能検査は、柔軟かつカスタマイズ可能なので、ほとんどのタイプの基盤の検査が可能です。
また、特殊な装置を使わないので安価で検査できるメリットがあります。しかし一方で、検査計画の対象となるチェックによって欠陥の検出率が異なることや、訓練された技術者が必要だったり、検査でストレスを受け、機能検査に合格した直後に基板が故障してしまう可能性があります。
基板の検査方法には、主に7つの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。検査方法を検討する際には、それらを理解した上で検査方法を決める必要があるでしょう。
「検査は付加価値を生まない」という言葉があります。確かに検査という作業自体が直接売上アップにつながるわけではありません。しかし、検査に時間やコストを割いて品質を向上させることは、他社の追随を許さないオンリーワン企業になるきっかけになるのではないでしょうか。
当サイトでは実装基板に適したX線検査装置について詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。