はんだの不良はなぜ起こる?不良例
はんだ付けは、プリント基板の回路の溶着に用いられています。はんだ付けの不良は、プリント基板が壊れる原因の一つです。ではなぜはんだ付けの不良が起こるのでしょうか。ここでははんだの不良はなぜ起こるのか、また不良例についてまとめて紹介しています。
はんだ不良8つのパターン
はんだの不良には、主に次にあげる8つの不良があります。
- 断線
断線の原因は、はんだが付いていないことによって起こる不良です。 - ショート
ショートの原因は、はんだが付いていない場合やはんだの量が過剰すぎる場合、接触パッドに付着している状態だった場合などです。 - ボイド
ボイドは、はんだ内部で発生したガスの気泡が浮き上がっている状態です。 - 漏れ不良
漏れ不良は、外観上はキレイにはんだがされていても、電気的に接続されていない状態です。 - はんだボール
はんだボールは、飛び散ったはんだがボール状になり固まった状態です。 - ブリッジ
ブリッジは、隣接しているICピンの間にはんだがつながった状態の不良です。 - クラック
クラックは、はんだの表面にヒビ割れができている状態です。 - イモハンダ
イモハンダは、はんだの母材に馴染まずに、はんだが山型ではなく丸型になっている状態です。
これらのはんだの不良は、プリント基板が壊れる原因であり、部品不良よりも多くなっています。
はんだの量が過剰または過少でも、電気的につながっているので正常に動作しますが、耐久性に問題があるため、将来的にはプリント基板が壊れてしまいます。
はんだの不良例
はんだ不足
はんだの量が不足している状態では、回路の断線のほかに、ラッド(接着面)やリード線が汚れたり、酸化してしまう原因となってしまいます。この場合の対処法としては、はんだの量を多くすることや、フラックスで全面を洗浄する方法があります。
はんだ過多
はんだ過多は、はんだ不足とは反対にはんだの量が多すぎる状態で、回路のショートの原因になってしまいます。この場合の対処法としては、単純にはんだの量を減らすことです。
部品の浮きや傾き
部品をプリント基板に取り付ける際にリードの形成不良が原因でおこります。はんだ作業は、プリント基板を裏返しで部品を取り付けるため、部品自体の重みで外れてしまうと部品に浮きが発生してしまいます。この場合の対処法としては、リードの成型を適切に行うことや、部品自体の重みで浮いたり外れたりしないように部品をしっかり固定することが大切です。
オーバーヒート
オーバーヒートは、はんだ付け表面につやがなく、ひび割れ(クラック)している状態で、内部がスカスカであるため接着の強度を保つことができません。これははんだごての先端の温度が高すぎることで起きてしまいます。対処法としては、はんだを加熱する時間を短くするなどの方法があります。
そのほかの事例
そのほかに、はんだの加熱時間が長いことで起きるツララや、はんだの量が多いことで部品同士の接点が繋がってショートしている事例などがあります。
はんだ不良を検知した事例
このようなはんだ不良を防ぐために検査が必須となりますが、目視での判定だけでは抜け漏れが発生する可能性があります。 そこでX線検査装置を使用することではんだ不良の箇所を画像で判別するだけでなく、はんだ充填率を数値化することも可能です。下記の画像はアイビットのX線検査装置を使った検査の様子です。
はんだ不良が起きる原因には、はんだの量の過多や過少、はんだごての温度、部品の取り付けの際にリードや固定方法など、さまざまな原因があります。はんだ付けを行う際には、これらのことを考慮してはんだ付け作業を行うことが大切です。
また、フローはんだとリフローはんだによってもそれぞれに長所・短所があり、各特徴を活かした基板設計も重要となってきます。品質向上のためにもX線検査装置を上手に活用することが、自社の未来を創る第一歩となるのではないでしょうか。