X線検査装置の原理
X線検査装置は、対象物にX線を照射した際に、X線が原子の周囲にある電子によって散乱、干渉することで回析を解析することを測定原理としています。X線を用いて撮影した画像はモノクロですが、X線の透過量によって色の濃淡に違いがあります。X線検査装置の原理について、まとめました。
X線は物質を透過する
波長が非常に短いX線は、物質を構成している原子と原子の間を通過します。ただ、すべてのX線がそのまま透過するのではなく、透過する際に減衰し、色に濃淡ができます。X線が原子核の周囲を回る電子と当たると、さまざまな相互作用が発生。その現象が起こらなかったX線は透過X線となり、透過するX線量が多いほど明るく白く映ります。一方、X線が減衰した部分は黒く映ります。
厚みと材質で選ぶ要素が変わる
透過X線の強さは、一般的に要素によって決まります。原子番号と密度が大きいほどX線を遮蔽するため、同じ厚みで材質を変えたときX線画像は変化します。例えば、1円玉のアルミニウムは70kV以上では透過されて見えませんが100円玉(白銅)や10円玉(青銅)は透過することができます。
X線の管電圧を上げるとX線の波長は短くなり、透過しやすくなります。管電圧を上げると発生するX線量は増え、強度が上がりますが、波長は変わらないので管電流を上げても透過しないものは黒く映る状態に。管電圧と管電流は、見たいものに合わせて適切な条件を決めておくことで鮮明なX線画像をとることができるのです。
観測システム
X線画像は影絵を考えると、理解しやすくなります。光(X線)の発生部と影(X線画像)を映し出したい間に対象物を置いて影を発生。その影がX線画像となります。
影絵を大きく見るポイントは3つ。
- X線発生部の焦点サイズを小さくする。
- 対象物をX線発生部に近づける。
- 対象物から影を映す投影面は遠くする。
幾何倍像倍率は、X線の発生部から対象物までの距離と、発生部からX線カメラまでの距離で変化。したがって、X線発生部とX線カメラの距離を一定に保ち、X線発生部に対象物を近づけると幾何倍画像倍率は高くなります。
その逆に対象物をX線発生部から離すと幾何倍画像倍率は低くなる分、視野が広がり広い画像をとることができます。
対象物にX線を照射し、対象物の周囲にある原子を拡散、干渉させ回析を解析することがX線検査装置の原理です。
透過するX線量が多いほど明るく白く映る一方、X線が減衰した部分は黒く映ります。また対象物の材質によっても透過は異なります。さらにX線発生部からX線カメラまでの距離が一定の場合、対象物を発生部に近づけると幾何倍画像倍率は高く、離すと幾何倍画像倍率は低くなり、視野の広い画像の撮影が可能です。
下記では、基板の抜き取り検査、全数検査に適したX線検査装置をご紹介しています。裏面キャンセル機能を搭載するとどのような画像で見えるのかをぜひご覧ください。