X線検査装置の種類
X線検査装置の種類には、まず生活に身近な健康診断でのレントゲン検査があります。そのほかに医療分野では、体の異常を即座に確認できるX線CT検査などがあります。このような優れたX線検査装置は、医療分野に限らず、食品、電子部品の製造加工、建設業界、航空業界など、幅広い分野で利用されています。ここではX線検査装置の種類についてまとめて紹介しています。
X線検査装置とは
X線発生装置の内部にあるフィラメントに電圧をかけることで電子ビームを発生させ加速します。その加速した電子を衝突させることでX線が発生、X線を対象物(ワーク)に照射します。X線は異物があると透過量が変わるため、異物の大きさによって濃度が異なるデータを得ることができます。このデータをもとに異物の判別が可能です。
X線検査装置の一部・CTとは
X線CT検査装置は、実装基板や半導体などの電子部品や自動車製品などの産業用非破壊検査装置として活用されているほか、空港の荷物検査場にも使われています。
CT検査装置は上下方向にX線を照射し、対象物内部を観測する方法が一般的ですが、医療分野で使われている原理を使うことで、荷物の3次元画像が造影できる装置が開発されています。これにより、手荷物検査場では荷物を開けて確認しなくても荷物内部を確認することが可能になりました。
空港の荷物検査場の混雑の緩和が期待され、国内外の一部の空港で導入されています。
産業用X線検査装置の種類
マイクロフォーカスX線検査装置
基板や半導体を検査するために用いられるX線検査装置です。X線の発生する焦点サイズがミクロン単位のX線管を使用しており、高解像度が必要な透視に用いられます。
高出力X線検査装置
透過しにくいものや大型製品に使用されるX線検査装置。高出力とは管電圧のことを指しており、数値が高ければ高いほどX線の波長が短くなり、透過力が強くなります。
インライン・オフライン検査装置
X線検査装置の中にはインライン機とオフライン機に分かれます。インライン機は製造工程に組み込むことで全数検査を目的にしたもの、オフライン機は独立した装置で抜き取り検査を目的にしたものに分かれます。
非破壊検査装置とは
非破壊検査装置とは、検査の対象物を傷つけたり破壊したりすることなく内部や表面を検査できる装置です。この非破壊検査装置によって製造した製品を破壊することなく検査ができ、製品の信頼性や、製品保証の根拠とすることができます。
非破壊検査装置は、複数の原理に基づいたさまざまなタイプがあり、検査対象の特性や検査の目的によって使い分けられています。
超音波探傷検査装置
超音波探傷検査装置は、超音波探触子から発振した高電圧の超音波を検査対象物の表面や内部に伝播させ、透過する振動により内部の欠陥や表面傷に反射したエコーを受信し、内部の欠陥、表面の傷の大きさや場所を特定できます。また超音波探傷検査装置は、検査対象物や形状に合わせて、パルス反射法、透過法、共振法の3つのタイプがあります。
磁粉探傷検査装置
磁粉探傷検査装置は検査対象物に強い磁場を印加させ、表面にある傷から発生する磁束の乱れによって傷の場所や大きさを確認できる検査装置です。色のついた鉄粉や蛍光磁粉を散布し、表面傷の部分に磁束が乱れることで、鉄粉や蛍光磁粉が整列し、模様や光の集合体として確認できます。
主に装置がない目視での検査方法として利用されており、最近では画像認識装置を搭載した検査装置も販売されています。
渦流探傷装置
渦流探傷装置とは、銅線を巻き付けたコイルが埋め込まれたプローブに交流電流を流し、対象物の表面に近づけ、対象物の表面に生じる過電流の乱れを測定することで対象物表面の傷の有無を判断する検査装置です。
渦流探傷装置は、傷の判別精度や感度によって、コイル形状の異なるモノを用意する必要があることから、主に同一形状の製品の検査として使われています。
放射線透過試験装置
放射線透過試験装置は高エネルギーのX線を使って対象物へ放射線を照射し、透過した放射線を検出器で受信、そのデータを描画または画像認識装置によって確認することで、検査対象物の内部の欠陥を検査する装置です。従来はレントゲンと同じように、放射線でフィルムを感光させて内部の欠陥を人の目で確認していましたが、現在では画像認識で自動判別しています。
X線検査装置の特性を理解し、検査対象物の形状や検査項目に合った検査装置を導入することが大切です。
下記では、多層基板やビルドアップ基板の抜き取り検査、全数検査に適したX線検査装置をご紹介しています。裏面キャンセル機能を搭載するとどのような画像で見えるのかをぜひご覧ください。